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三日に一度くらい書けたらいいなの日記。たまにみじかい話も書きます。
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anohito.

またしても短い自分用メモなのでたたみます。落乱の綾部と伊作です。
最近へんな短文てかメモばっかですいません。
せっかくの3/20と21をスルーしちゃって後悔してます。のがしてはならん日だろうぺよん的に…。
 


(落乱/綾部と伊作/伊作を模索中。六年生の在学中の任務についても考え中)



 傷だらけ。
 血だらけ。
 使命感まみれ。
 殺意。
 血は洗い流され、使命は日々更新され、殺意はいつ如何なるときも自ら捨てられるものである。
「殺意なんて持たないほうがいいよ」
「なぜですか」
「殺す暇があるなら逃げるんだ」
「ころさなければ逃げられないときはどうすればいいですか」
 善法寺は綾部の視線を受けてすこしたじろいだように頼りなく笑った。赤黒く汚れた頬の傷口がゆるく歪み、細く流れた血があごを伝って濃緑(こみどり)の装束に染みた。まばたきのすくない綾部の大きな目が苦手だといつかも同じ顔で笑っていた。もうずっと昔のことのように思う。
「そのときは、」
 言いかけて善法寺は咳き込んだ。地面に吐いた唾液は赤かった。
「仕方ないね」
 善法寺の笑顔はいつだって安易でおぼつかず、優しく、底がない。この人はほんとうは誰よりも、と思って、綾部はその先を考えるのをやめた。あまり知りたくない気がしてやめた。
「ころしたのですか」
 善法寺は無言のまま長屋のほうへ歩き出したが、いくらも進まないうちに立ち止まると、ゆっくりと振り返った。穏やかな目をしていた。
「殺したよ」
 なぜ黙っていてくれないのかと自分で訊いておきながら痛烈に綾部は悔やんだ。善法寺はふたたび綾部に背を向け、片足をわずかに引きずりながら歩いていった。
 血も、使命感も、殺意も、善法寺には何も跡を残さない。意味がない。唯一残るのが傷であるのならわたしはあの人を傷つけなければと唐突に綾部は思った。
 わたしのつけた傷をあの人に残しておかなくては。
 満身創痍の善法寺の背に伸ばした綾部の手は、しかし、届くことはないのである。
 
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