三日に一度くらい書けたらいいなの日記。たまにみじかい話も書きます。
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2025.04.20 Sunday
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殺人者
2006.12.02 Saturday
(※切ジロ)
会いたくないならこなくていいし、軽蔑するなら笑えばいいし、気に食わないなら殴ればいいし、奪いたいならセックスだけでいい。
意味のないつまらない関係のままでいいし、
きらいなら、きらいって言えばいい。
「死んじまうけど」
言われたら、きっと俺は死んでしまうけれどね。
「気味が悪かのう」
「あ?」
「死ぬる死ぬるてひとりごちとうよ、切原が」
「あっそうじゃあ死ぬんじゃねえの?」
「余命三ヵ月かの」
「三日で十分だろい」
言い放って高らかに本気で笑い合う鬼のような先輩たちを無視して、赤也は足早に部室をあとにした。本当なら椅子の一脚二脚十脚ぐらいはぶち投げてやりたいところだが、あの豺狼どもを相手にそんな世界の終焉に挑戦するがごとき暴挙に出る勇気がせまい自分の心のどこかに秘められているだろうか、いやない、せめてそれこそ殺す勢いで乱暴極まりなくドアを閉めてささやかな抵抗を。
ドアと壁と鼓膜を震わせる衝撃がさめない夕暮れのうつくしい廊下、の向こうの角から厳然と現れた真田に見咎められる前に、赤也は逆方向へ逃げ出した。走って走って昇降口を飛び出してもまだ走って、そして、校門の外に彼を見る。
「モジャ原くん、おれ待たすとかってオメエ何様?」
さも信じられないという面でふてぶてしさを炸裂させる彼こそが何様だ。呼んだ覚えはない、したがって待たせた覚えもない、こんな奇跡を起こせる行いのよさにもまるで覚えが
「ない、ん、ですけど」
きらいなんて日本語も必要ない、存在だけであんたはおれをころす、
生かす。
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